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京都の伝統工芸品、「京もの」は、手づくりの良さを控え目に訴えています。

柏井壽氏著の「ふらり 京都の春」の中で、洛北、実相院門跡の、有名な「床もみじ」「床みどり」の光沢がどのようにしてできあがったかのくだりに、

”当たり前のことだが、床にもみじや新緑を映すためではない。門跡寺院の常のこととして清浄を保つために日々、床を拭き、磨いている。それが結果としてこの眺め(床みどり等)を生んだわけで、(中略) まずはその手入れに思いを馳せていただきたい。(中略)人が、人の手が、京都を京都たらしめている。(中略)多くの人々と、長い時間の熟成によって今の京都の美しさ、尊さがある。だがその努力は、誰の目に触れるものでもなく・・・” 

とありますが、京都の伝統工芸品もそれに通じるものがあります。

京都の伝統工芸品は、1000年の昔より培われてきた伝統工芸技術から生まれ、使い手の事を考えながら、ひとつひとつ手作りで作られたものです。

しかしながら、ほとんど人の手をかけず機械で作ったものと、手作りで一品一品作られたものが、どこがどんな風に違うかは見た目ではなかなかわかりません。

京都の伝統工芸品である「京もの」は、触って初めて手作りの肌触りの良さ、質感の良さを、そして使って初めて品質の高さを感じ取るものです。

ものの価値をコストだけで計るのではなく、物の品質や質感の良さで判断するような生活思考の重要さを京都の伝統工芸品、「京もの」は控え目に訴えています。

京都を繰り返し何度も訪れる人や京都をこよなく愛する人たちには、そうした手作りの良さをわかって頂けるものと確信しています。

(写真は、手書友禅によるウールガーゼストール。

 京都の伝統工芸のひとつ、手描友禅は繊細で緻密な手作業を経て作品が完成します。

 手描友禅の「染工房 正茂」を主宰する作家、上仲 正茂氏の作品です)。


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